大判例

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福岡高等裁判所 昭和29年(う)68号 判決

本件起訴状記載の公訴事実の要旨によれば、「被告人は……昭和二八年四月二四日施行の参議院議員の選挙に際し、全国区から立候補した豊瀬禎一の選挙運動をするにあたり、法定の除外事由がないのにかかわらず、第一、………と共謀の上、昭和二八年四月二二日福岡県浮羽郡浮羽町御幸区道筋の電柱外同郡内九〇個所に選挙管理委員会の検印を受けない豊瀬候補者の選挙運動のために使用するポスター一七〇枚を掲示し、第二………と共謀の上、同月一九日から同月二一日までの間福岡県三井郡草野町大字紅桃林指出安方板戸外同郡内八七個所に選挙管理委員会の検印を受けない同候補者の選挙運動のために使用するポスター一七四枚を掲示したものである。」というのであり、原判決の認定するところは、「被告人は、……昭和二八年四月二四日施行の参議院議員選挙に際し、全国区から立候補した豊瀬禎一の選挙運動をするにあたり、第一、……と共謀の上、昭和二八年四月二二日選挙運動のためにする同候補の街頭演説会用ポスターを福岡県浮羽郡浮羽町御幸区外同郡内九〇個所の道路筋の電柱等に掲示し、もつて演説会場又は街頭演説の場所において、演説中でなければ使用を禁止されている右ポスターを掲示し、第二、……と共謀の上、同月二〇日から同月二一日までの間同候補の選挙運動のためにする前同様のポスターを、福岡県三井郡草野町大字紅桃林指出安方板戸外同郡内八七個所に掲示し、もつて演説会場又は街頭演説の場所において演説中でなければ使用を禁止されている右ポスターを掲示したものである。」との旨の事実であつて、原判決の認定事実は、一見起訴状掲記の訴因と異るものがあるように見えないでもないが、起訴状の記載と本件記録並びに証拠に現われた具体的な事実とを仔細に検討するときは、本件公訴にかかる事実は、「参議員全国区、トヨセ禎一、街頭演説会場」等の文字を印刷表示した起訴状掲記の無検印のポスター一七〇枚、同一七四枚を起訴状掲記の日時起訴状掲記の場所に掲示した事実そのものであることまことに明白であり、なお右ポスター掲示の日時場所が演説会又は街頭演説の行われない日時場所であつたことは、原審における事実審理の進展につれて漸次明白にされたところであるが、起訴状に「………法定の除外事由がないのにかかわらず……掲示し」との旨の文言が記載され、殊に罰条として、無検印ポスターの掲示に関する公職選挙法第一四四条第二四三条第四号が示されずして、却つて演説会又は街頭演説の行われない日時場所における本件ポスター掲示の事実は、本件訴因に当初から包含されているものと解するのが相当である。従つて、原判決認定の事実は、訴因の範囲内において訴因と同一事実に属するものというべく、原判決認定の事実が訴因と異るものであることを前提とする論旨は採用の限りでない。

(後略)

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